お寺からのお知らせ 住職つれづれ

【今月のことば 2025年9月】

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8月は『ピュアランド』というドキュメンタリー映画を見てきました。

ニューヨークで暮らす元銀行マンのお坊さんと、89歳で仏教に目覚めたお婆ちゃんの聞法生活を見つめる映画でした。いろいろな思いを抱えながらも、目の前にある日々を丁寧に生きる姿が、美しい映像とともに描かれていました。

そのお婆ちゃんことカッツ・ツネさんが、以前同朋新聞に紹介されていた時の記事がチラシに載っていました。この映画の土台となる二人の出会いと生活が少しわかりますので、ご一読ください。これが、仏教に出遇った人から出てくることばなんですね。

ちなみに、10月17日・18日には京都での上映もあるそうなので、ご興味のある方はどうぞ。

ツネさんは北海道旭川市生まれ。1955(昭和30)年、当時軍人として札幌の駐屯地にいたアメリカ人と結婚したことを機にニューヨークに渡った。以来62年間、持ち前の気丈さと根性で2人の娘を育て上げ頑張り抜いてきた。

そんなツネさんは5年前、ニューヨークで開教にたずさわる名倉幹(なくらみき)開教使(かいきょうし)と、ある会合で偶然知り合った。以来熱心に、名倉氏の開く聞法会(もんぽうかい)に足を運んでいるが、真宗の教えにふれ続けていくうちに、ものの見方が逆転するほどの衝撃を受けたという。

 また、アパート暮らしをしていた名倉氏に「私の家で生活の世話をさせてくださいませんか」と申し出、以来ツネさん夫妻は名倉氏の開教活動を支えている。

 ツネさんは毎日、名倉氏とともに自宅のご本尊(ほんぞん)の前でお朝事(あさじ)を勤(つと)め、特に蓮如上人(れんにょしょうにん)の御文(おふみ)を1日1通ずつ味わうことが何よりも楽しみとなった。

ある日ご主人から、「あなたはいつも何を仏様にお願いしているの?」と尋ねられたツネさんは「何にもお願いしていませんよ」と答えたそうだ。

 「仏教の教えを聴き続けるうちに、自分がいかに「自分、自分」と自我(じが)を振りかざして生きているか、不足不満で周りの人を差別する浅ましい根性を持っているか、そういうことが見えてきたんです。仏教というのは自分が見えてくることなんですね。そしてそれが全ていただきもの。いいことも悪いこともこのツネをいただいている。それを有難うと言いたい、そう思える頭もいただいている、全部他力ですねー。不思議にも生かされているんですねー。死んでからではなくて今ここにいただくものなんです」。ツネさんは確かな表情で語った。

 「何も知らずに死ぬところでした」と、ツネさんは今日も聞法の日々を喜んでいる。

 取材/北米開教区 

東本願寺「同朋新聞」(2017年11月号)

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