![【今月のことば 2024年4月】 東淀川区豊里 真宗大谷派 教応寺 kyououji.com
自分が生きてきたこと、
死んでいくことに
意味を見出したい
雲井一久氏
ご門徒さんで、Iさんという方がいました。すい臓がんであることが発覚し、余命宣告をされました。「今から約一年です」と医者に言われて、最初のうちは、七転八倒されていました。しかし、もう免れないと知って、残された時間を思い残すことなく過ごそうと思われたのです。
家族に迷惑をかけないように、身辺の整理と相続の手続きをされました。そして、旅行や自分の趣味、家族と充分過ごすこと等、いわゆる悔いのない終活をしていたのだとIさんはおっしゃいました。思い残すことがないようにリストを作って全部消すことができた。けれども、これで充分だと言えないとIさんは言うのです。はたから見れば完璧に終活をされたのです。しかし、「自分の問題が残った」と言われました。「余命を宣告されて、自分なりにやることはやってきたし、やれたのは嬉しい、しかし、それで満足なのだろうか。そう思うと不安でたまらなくなる。仏教はこの問題をどう解決するのですか」と。
Iさんの問いは、自分が生きてきたこと、死んでいくことに意味を見出したいということでした。いくら周りを固めても、残る問題がある。そのことをIさんは教えてくださいました。Iさんの問いは、日常の心ではなく、仏さまのこころ、仏さまからの問いかけではないかと思うのです。自分の死を前に身近な問題を整理される中で、これから何を宗としていくのか、確かな拠り所とは何かという問いかけが出てきたのです。
雲井一久氏](https://i1.wp.com/kyououji.com/web/wp-content/uploads/2024/04/CamScanner-2024-04-01-06.53n_1-e1711926917578-1024x788.jpg?resize=700%2C539)
私たちは、生まれて、生きて、そして一人死んでいかねばなりません。
その人生にある「本当の願い」「究極の願い」とは何なのか。
それは、私の周りにあるのではなく、むしろ私の内面、私の心の奥底から湧き上がってくるものなのではないか。
また、その大問題を私に教えようとしてくれている人が、実は私の周りにたくさんいてくれているのではないか。
そんなことを思っている4月のはじまり。
今月末は、永代経です。ご門徒のみなさまとしっかりと準備をして、聞法に励みたいと思います。
![【今月のことば 2024年4月】 東淀川区豊里 真宗大谷派 教応寺 kyououji.com](https://i2.wp.com/kyououji.com/web/wp-content/uploads/2024/04/946286c499b413db330dd535d83930a9.png?resize=700%2C1017)
投稿日:
私たちは、生まれて、生きて、そして一人死んでいかねばなりません。
その人生にある「本当の願い」「究極の願い」とは何なのか。
それは、私の周りにあるのではなく、むしろ私の内面、私の心の奥底から湧き上がってくるものなのではないか。
また、その大問題を私に教えようとしてくれている人が、実は私の周りにたくさんいてくれているのではないか。
そんなことを思っている4月のはじまり。
今月末は、永代経です。ご門徒のみなさまとしっかりと準備をして、聞法に励みたいと思います。
執筆者:tomohiro
関連記事
2023 除夜の鐘 皆さまいかがお過ごしでしょうか。今年も残すところ、あとわずかとなってまいりました。 さて、3年間見合わせておりました「除夜の鐘」を今年は開催させていただきます。 しかし、いまだいろ …