ご法事などで、いろいろなお家にお参りに行かせていただきます。当然ですが、それぞれのお家によって年代も違えば人数も違うので、その場の雰囲気は本当に様々です。
その中で、たまに赤ちゃんがいてくれる時があります。そんな時は、どんなお家でも一様に、やわらかで穏やかな雰囲気に包まれています。
それと同時に、その場にいる大人たちは、その赤ちゃんのまっさらで透き通ったまなざしから、自分がその清らかさからどれだけ離れてしまったのかを教えられるのです。「わたしにもこんな時があったはずなのに…」と。
何も持つことなく裸で生まれてきたにもかかわらず、時が経つにつれて、いろいろなものをひっつけて生きることに価値があるのだと思い込んでしまい、その自分で作った価値観で、他人と比べ、うぬぼれたり、また卑下したりして苦しんでいるのです。
人生は裸で始まり裸で終わります。その尊さを仏陀は教えてくれているのでしょう。