お寺からのお知らせ 住職つれづれ

【今月のことば 2024年11月】

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【今月のことば 2024年11月】 東淀川区豊里 真宗大谷派 教応寺 手を合わせてきた先祖の歴史がなければ、 手を合わすということはできません。 宮城顗氏
【今月のことば 2024年11月】 東淀川区豊里 真宗大谷派 教応寺 

人生は、巻き戻すこともできないし、やり直すこともできません。

自分の力でなんとかなる、また誰かの助けを借りてなんとかなる問題もあれば、もうどうすることもできない厳しい現実というものも私たちの人生にはあります。

その厳しい現実を前に、何も言うことができない、動くことすらできない。

ただただ出てくるのは、涙とため息。それは止めようと思っても止まるものではありません。「裸の自分」になってしまえばそういうものなのでしょうか。

しかし、どうすることもできないこの苦しみをこの悲しみを、唯一聞いてくださるのが仏さまなのではないでしょうか。

「もうどうしたらいいかわかりません。助けてください」と手を合わせる、そこに遠い過去から永遠につながっている「道」が見出され、その道を歩まれた無数の「人」との出遇いがあるのでしょう。

今月は報恩講が勤まります。私に届けられているものは何か。聞法させていただきましょう。

【今月のことば 2024年11月】 東淀川区豊里 真宗大谷派 教応寺 手を合わせてきた先祖の歴史がなければ、 手を合わすということはできません。 宮城顗氏私たちが、何十年間かの人生を生きていく中では、ことばを失うような体験というものが必ず一度や二度はあるはずです。普段のときはあれもいい、これもいい、あのこともし、このこともし、といろいろと言ったり、したりできる。ところが、一つの現実の前に立ったときに、もう言うべきことばも失い、なすべきことも思い浮かばないというような体験というものがあるかと思います。(中略)   言い換えますと、私からあらゆることばとか分別を奪い取るような人間の苦悩というものに出会う。そういう苦悩に出会って、ことばもおもんぱかりも全部奪い取られる。そこに感ずる自分というのは、文字通りどうしてみようもない自分です。友だちだ、夫婦だといいましても、どうしてみようもない裸の自分が感じられるのです。(中略)   ことばも失い、あらゆる計らいも奪い取られたときに、ただ一つそこに出てくるものが念仏だということなのです。けれども、それもそういうときには念仏しなさいという教えというよりも、ある意味でそれは思わず出る念仏なのです。そういったときに思わず念仏が出るというのは、実は私たちの中には、私たちに先立ってことばを失い、なにの分別も働きようのない、そういう人間の苦悩の厳しさに出会った人々がそこで念仏してきたという歴史を抱えていたということがあるからなのです。 厳しい苦難にぶつかったときに、私たちに思わず南無阿弥陀仏ということばが出るということは、そのような念仏の歴史がなかったら出てきません。念仏してきた人々の歴史が、私にまでずっと伝わってきているのです。手を合わせるということ一つでも、手を合わせてきた先祖の歴史がなければ、手を合わすということはできません。 宮城顗氏
【今月のことば 2024年11月】 東淀川区豊里 真宗大谷派 教応寺 


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