【今月のことば 2025年7月】 東淀川区豊里 真宗大谷派 教応寺 目の前の人を、ただの人と思うなよ 高橋卯平氏
約1年間スタッフとして関わらせていただいた全6回の連続講座、その締めくくりとして、先月、二泊三日でご本山・東本願寺にお参りさせていただきました。あの大きな両御堂の奥にある「同朋会館」という建物で、寝食を共にしながら講義を聞いたり座談会をしたりします。その建物には、至るところに仏教の言葉が掲示されていて、上記の言葉は、私たちの部屋のすぐ横に貼られていました。これは、北海道の念仏者が生涯にわたって大切にされたご両親の遺言だそうです。
さて、その連続講座は、所属するお寺も年代もバラバラの門徒と僧侶が、全くの「はじめまして」で始まりました。恐る恐る少しずつ少しずつ、今までの人生をお互いに語っていきました。さまざまな人生にふれ、仏さまの教えに耳を傾け、自分の心を見つめていく、回を重ねていくごとに自然と関係は深まり、いつしか、この悩み多き人生を共に歩む仲間のようになっていきました。
最後の座談会では、「この年齢になって友達ができるなんて思っていなかった」「これで終わるのはもったいない」「またみんなに会いたい」と、再会を約束して別れを惜しみました。
上記の言葉には続きがあります。
「目の前の人を、ただの人と思うなよ。卯平あなたが可愛いがゆえに、お姿を変えて現れてきてくださった仏さまなのだから、失礼のないように近づいて、そのお徳をいただきなさい。(住職私訳)」
最初は「ただの人」だったのが、仏法を通して出遇ってみれば「共に歩む仲間」になっていたのでした。
今までの経験や固定観念に縛られた私には見えないつながりを、仏さまが目の前で見せてくれたように思いました。 (住職)
